概要
[補助科目登録]メニューで管理している取引先を、[取引先登録]メニューでの管理に切り替える場合に必要な手順を説明します。
必要な設定
1. どの取引先を[取引先登録]メニューで管理するかを決める
[取引先登録]メニューでの管理に切り替えたい取引先を決めます。
なお、すべての取引先を、[取引先登録]メニューでの管理に切り替える必要はありません。
例 | インボイス制度への対応を機に、仕入先(取引先)が適格請求書発行事業者か免税事業者かを、当製品で管理することになった。 上記に伴い、取引入力時に勘定科目「仕入高」を指定している取引先だけを、[取引先登録]メニューで管理する。 |
2. どの科目に属しているか、いつ管理方法を切り替えるかを確認する
[取引先登録]メニューで管理する取引先が決まったら、該当の取引先が、損益計算書と貸借対照表のどちらの科目に属しているか確認します。
また、いつから[取引先登録]メニューでの管理に切り替えるかを決めます。(翌期から切り替えるのか、期中に切り替えるのか)
上記の組み合わせによって、A. ~C. のどの処理が必要か決まります。
「○」が付いている部分が必要な処理です。
A.取引先の登録 | B.当期仕訳の振替 | C.開始残高の振替 | ||
---|---|---|---|---|
損益計算書の科目 | 翌期から切り替える | 〇 | - | - |
期中に切り替える | 〇 | 〇 | - | |
貸借対照表の科目 | 翌期から切り替える | 〇 | - | 〇 |
期中に切り替える | 〇 | 〇 | 〇 |
続いて、A. ~C. それぞれの操作手順を記載します。処理が必要な記号の操作手順をご参照ください。
- A. 取引先の登録
「A. 取引先を登録する」をご参照ください。 - B. 当期仕訳の振替
「B. 当期で登録済みの仕訳伝票の金額を振り替える」をご参照ください。 - C. 開始残高の振替
「C. 開始残高を調整する」をご参照ください。
注意 |
A. ~C. の作業をする前に、[随時処理 - バックアップ]メニューで、バックアップを作成してください。 |
A. 取引先を登録する
登録済みの補助科目をcsvファイルに出力し、取引先として受け入れる手順を説明します。
1. 補助科目のcsvファイルを出力する
- [随時処理 - 汎用データ作成 - マスターデータ作成 - 補助科目データ作成]メニューを選択します。
- [補助科目データ作成 - 出力条件設定]画面で、以下のように設定します。
- [基本設定]ページの勘定科目指定で、[取引先登録]メニューでの管理に切り替える勘定科目を指定します。
参考 [取引先登録]メニューでの管理に切り替える勘定科目が複数ある場合は、1科目ずつ指定して、csvファイルを出力してください。
- [出力設定]ページで、以下のように設定します。
- ファイルの種類で、「転送ファイル」を選択します。
- 作成形式で、「OBC受入形式」を選択します。
- [参照]ボタンをクリックして、ファイルの出力先とファイル名を設定します。
参考 勘定科目「仕入高」の補助科目を出力する場合は、「仕入高の補助科目.csv」のようなファイル名にすると判別しやすくなります。
- [項目選択]ページで、「勘定科目」「補助科目コード」「補助科目名」「インデックス」を選択済項目に移動します。
- [基本設定]ページの勘定科目指定で、[取引先登録]メニューでの管理に切り替える勘定科目を指定します。
- [出力開始]ボタンをクリックします。
- メッセージが表示されるので、[キャンセル]ボタンをクリックします。
2. csvファイルを加工する
- 出力されたcsvファイルを開きます。
- 勘定科目コード「HMSA001」列は不要なので、列ごと削除します。
- 1行目の受入記号を変更して、取引先として受け入れできるようにします。
- 補助科目コード「HMSA002」→取引先コード「BCON001」
- 補助科目名「HMSA003」→取引先名「BCON003」
- インデックス「HMSA010」→取引先フリガナ「BCON002」
注意 「取引先コード」の値は、一意になるようにしてください。
複数のcsvファイルを受け入れる場合は、取引先コードの値が重複しないようご注意ください。
- 必要に応じて、「インボイス登録区分」列と「インボイス登録番号」列を追加し、値を入力します。
- インボイス登録区分「BCON017」(「0:適格請求書発行事業者」「1:免税事業者等」)
- インボイス登録番号「BCON018」(T+整数13桁。「T」を付けなくても受け入れできます)
- csvファイルを上書き保存します。
3. 取引先として受け入れる
- [随時処理 - 汎用データ受入 - マスターデータ受入 - 取引先データ受入]メニューを選択します。
- [取引先データ受入 - 受入条件設定]画面の[受入元ファイル設定]ページで、以下のように設定します。
- 受入データ形式で、「[100]OBC受入形式」を選択します。
- 受入元ファイル名で[参照]ボタンをクリックして、加工したcsvファイルを選択します。
- [受入開始]ボタンをクリックします。
- [取引先データ受入 - 受入結果確認]画面が表示されるので、すべて受け入れできたか確認して、[閉じる]ボタンをクリックします。
参考 |
[取引先登録]メニューでの管理に切り替えた補助科目は、[導入処理 ‐ 科目体系登録 ‐ 補助科目登録]メニューで削除します。 当期で、仕訳伝票や開始残高に金額が残っている場合は削除できません。金額の調整などがすべて完了してから削除してください。 |
B. 当期で登録済みの仕訳伝票の金額を振り替える
期中に[取引先登録]メニューでの管理に切り替える場合は、当期で登録済みの仕訳伝票の金額を振り替える作業が必要になります。
登録済みの仕訳伝票を直接修正する方法と、新規で振替伝票を登録する方法があります。
登録済みの仕訳伝票を直接修正する方法
[仕訳処理 - 仕訳処理]メニューなどで修正します。
注意 |
仕訳伝票の承認機能をご利用の場合、承認済みの仕訳伝票は修正できません。 |
新規で振替伝票を登録する方法
[仕訳処理 - 仕訳処理]メニューなどで、振替伝票を登録します。
振り替える金額は、[会計帳票 ‐ 内訳表 ‐ 補助科目内訳表]メニューなどで確認できます。
例 | 部門別に仕入高を管理している場合 |
もとの仕訳伝票
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
<部門:第一営業部> 仕入高 <補助科目:A商事> |
1,100 (100 |
<部門:第一営業部> 買掛金 |
1,100 |
振替伝票(税抜経理方式)
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
<部門:第一営業部> 仕入高 <補助科目:その他> <取引先 :A商事> |
1,000 | <部門:第一営業部> 仕入高 <補助科目:A商事> <取引先 :その他> |
1,000 |
振替伝票(税込経理方式)
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
<部門:第一営業部> 仕入高 <補助科目:その他> <取引先 :A商事> |
1,100 | <部門:第一営業部> 仕入高 <補助科目:A商事> <取引先 :その他> |
1,100 |
注意 |
他のマスターはそのまま指定してください。 |
C. 開始残高を調整する
貸借対照表の科目を[取引先登録]メニューでの管理に切り替える場合は、補助科目別の開始残高を取引先別の開始残高に調整する作業が必要になります。
補助科目別の開始残高をcsvファイルに出力し、取引先別の開始残高として受け入れる手順を説明します。
注意 |
『勘定奉行V ERP』シリーズをご利用の場合で、以下の2つの条件に合致する場合は、csvファイルを取引先別の開始残高として受け入れることができません。
代わりに、[仕訳処理 - 仕訳処理]メニューなどで、振替伝票を登録します。 仕訳例は、「B. 当期で登録済みの仕訳伝票の金額を振り替える」の「新規で振替伝票を登録する方法」をご参照ください。 |
1. 開始残高のcsvファイルを出力する
- [随時処理 - 汎用データ作成 - 金額データ作成 - 開始残高データ作成]メニューを選択します。
- [開始残高データ作成 - 出力条件設定]画面の[出力設定]ページで、以下のように設定します。
- ファイルの種類で、「転送ファイル」を選択します。
- 作成形式で、「OBC受入形式」を選択します。
- 出力先ファイル名で[参照]ボタンをクリックして、ファイルの出力先とファイル名を設定します。
- [項目選択]ページで、[すべて選択]ボタンをクリックします。
- [出力開始]ボタンをクリックします。
- メッセージが表示されるので、[キャンセル]ボタンをクリックします。
2. 補助科目別の開始残高を0円にするための準備をする
- csvファイルを開き、[取引先登録]メニューでの管理に切り替える勘定科目以外の行を削除します。
- csvファイルを上書き保存します。
- 2. のcsvファイルを複製して、csvファイルを3つ用意します。
参考 このあと、複製したcsvファイルを加工していきます。
意図しないcsvファイルを加工・受入しないように、ファイル名を変更しておくことをお勧めします。例 - 「開始残高(加工しない).csv」
- 「補助科目別0円.csv」
- 「取引先別の開始残高.csv」
- 複製したcsvファイルのうち、補助科目別の金額を0円にするcsvファイルを開きます。
- 金額「CMOB009」列の金額を0円にして、csvファイルを上書き保存します。
3. 開始残高入力制限の設定を確認する
- [導入処理 - 残高入力 - 開始残高入力 - 開始残高入力制限]メニューを選択します。
- 「補助科目別金額の変更」が「0:補助科目別の勘定科目残高に、入力された内訳金額を加算する」になっていることを確認します。
「1:補助科目別の勘定科目残高を固定する」が選択されている場合は、「0:補助科目別の勘定科目残高に、入力された内訳金額を加算する」に変更します。 - 同様に、「取引先別金額の変更」が「0:取引先別の勘定科目残高に、入力された内訳金額を加算する」になっていることを確認します。
「1:取引先別の勘定科目残高を固定する」が選択されている場合は、「0:取引先別の勘定科目残高に、入力された内訳金額を加算する」に変更します。 - 2. と3. で設定を変更した場合は、[F12:登録]を押します。
4. 補助科目別の開始残高を0円にする
- [随時処理 - 汎用データ受入 - 金額データ受入 - 開始残高データ受入]メニューを選択します。
- [開始残高データ受入 - 受入条件設定]画面の[受入ファイル設定]ページで、以下のように設定します。
- 受入データ形式で、「[100]OBC受入形式」を選択します。
- 受入元ファイル名で[参照]ボタンをクリックし、補助科目別の金額を0円にしたcsvファイルを選択します。
- [受入開始]ボタンをクリックします(補助科目別の開始残高が0円になります)。
5. 取引先別の開始残高を受け入れる
- 「2. 補助科目別の開始残高を0円にするための準備をする」の3. で複製したcsvファイルのうち、取引先別の開始残高用のcsvファイルを開きます。
- 「補助科目コード」列の受入記号を「取引先コード」の受入記号に変更します。
補助科目コード「CMOB002」→取引先コード「CMOB008」 - 2. で変更した取引先コード列(「CMOB008」)以外に、1行目に「CMOB008」がセットされている列がある場合は、該当列を削除します(2. で変更した「取引先コード」列の方を残します)。
- csvファイルを上書き保存します。
- [随時処理 - 汎用データ受入 - 金額データ受入 - 開始残高データ受入]メニューを選択します。
- [開始残高データ受入 - 受入条件設定]画面の[受入ファイル設定]ページで、以下のように設定します。
- 受入データ形式で、「[100]OBC受入形式」を選択します。
- 受入元ファイル名で[参照]ボタンをクリックし、4. のcsvファイルを選択します。
- [受入開始]ボタンをクリックします(取引先別の開始残高が受け入れられます)。