概要
免税事業者等との取引で仕入税額控除できない消費税額を「税抜き本体価格」に上乗せするかを、[会計期間設定]メニューで設定します。
令和 5年10月 1日施行のインボイス制度の、仕入税額控除の経過措置6年間に関する設定項目です。税抜経理方式の企業が選択します。
ここでは、本体価格に上乗せする、しないのそれぞれの違いを仕訳と一緒に説明します。また、上乗せしない場合の、法人税の申告書作成の注意点を説明します。
参考 |
簡易課税制度や2割特例で消費税申告する場合 税理士にご相談ください。詳細は、こちらをご参照ください。 |
本体価格に上乗せする
仕訳入力時や汎用データ受入時に、仕入税額控除できない消費税額を自動で税抜きの本体価格(本体金額)に上乗せします。
仕入税額控除できない消費税額は、取引の日付によって異なります。
2023年10月 1日~2026年 9月30日:20%分
2026年10月 1日~2029年 9月30日:50%分
仕訳例
例 | 車両運搬具を免税事業者から1,100,000円で購入した場合に、仕入税額控除できない20,000円(消費税額の20%分) を税抜きの本体価格に上乗せし、1,020,000円にします。 |
日常の仕訳
車両運搬具に税込みで1,100,000円を入力
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
車両運搬具 |
1,100,000 |
現金 | 1,100,000 |
車両運搬具に自動で20,000円が上乗せされる
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
車両運搬具 税区分 <310:課税売上分課税仕入(免税事業者等)> |
1,100,000 |
現金 | 1,100,000 |
元帳(税抜)
車両運搬具 | 1,020,000 |
仮払消費税 | 80,000 |
参考 |
「日常の仕訳」の入力金額が税抜金額(消費税自動計算が「税抜金額からの計算」)の場合
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本体価格に上乗せしない
仕訳入力時や汎用データ受入時に、仕入税額控除できない消費税額を自動で税抜きの本体価格(本体金額)に上乗せしません。
決算時などに消費税精算仕訳として、他の仕入税額控除が受けられない消費税額もあわせて「雑損失」に一括で振リ替え調整(手動)をします。
注意 | 減価償却資産を免税事業者等から購入した際や、商品・材料を免税事業者等から仕入れて期末在庫で残った際は、法人税「別表四」「別表五(一)」で申告調整が必要です。 |
仕訳例
例 | 車両運搬具を免税事業者から1,100,000円で購入した場合は、これまで通リ「車両運搬具1,100,000円(税込)、内税100,000円」の仕訳で起票します。 |
日常の仕訳
車両運搬具に税込みで1,100,000円を入力
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
車両運搬具 税区分 <310:課税売上分課税仕入(免税事業者等)> |
1,100,000 |
現金 | 1,100,000 |
元帳(税抜)
車両運搬具 | 1,000,000 |
仮払消費税 | 100,000 |
決算時の仕訳(四半期に一回など雑損失へ振り替える)
今までも計上していた消費税の精算仕訳で、雑損失に振り替えます。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
仮受消費税 雑損失 |
A |
仮払消費税 未払消費税 |
B D |
各科目の金額を、会計帳票と申告書から転記します。
- 仮受消費税(A)と仮払消費税(B)は、「合計残高試算表」で振替期間まで集計した残高金額を転記
- 未払消費税(D)は、「消費税申告書」で振替期間まで集計した「確定納付税額(消費税及び地方消費税の合計税額)」を転記
- 雑損失(C)は、上記3つの金額(A・B・D)の差額を転記
参考 雑損失(仕入税額控除できない消費税額)のうち、免税事業者等との取引で仕入税額控除できない消費税額20%分は、[科目別税区分集計表]メニューで確認できます。(免税事業者等との取引用の消費税区分における「控除できない消費税額」項目の合計額)
詳細は、こちらをご参照ください。
参考 | 中間申告を加味した仕訳例は、当製品の『操作説明(ヘルプ)』をご参照ください。
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