回答
ファイナンス・リース資産の2019年10月以後のリース料は、税法上の規定と実際の支払内容が異なる場合があります。処理方法については必ず会計士などの専門家にご確認ください。
参考 | 税法上の規定 ファイナンス・リースはリース資産の引き渡しを受けた時点の消費税率を適⽤します。オペレーティング・リースのようにリース期間の途中で消費税率が切り替わりません。 |
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処理方法
処理方法は 2 つあります。- オペレーティング・リースに変更する
- ファイナンス・リースを継続する
専門家に確認した上で、いずれかの処理方法で対応してください。
- 仕訳例
リース会社から2019年10月以後のリース料が、消費税率 10 %で請求があった場合の仕訳例を説明します。
オペレーティング・リースに変更する
ファイナンス・リースとして会計処理しているリース資産で、リース会社から 10 %に切り替わる⽀払を請求された場合に、オペレーティング・リースに変更して対応する⼿順を説明します。
対応できるリース資産
[リース資産登録]メニューで以下の 3 項⽬すべてを満たしているリース資産です。
- リース区分で、ファイナンスが選択されている
- 会計処理区分で、賃貸借処理が選択されている
- 消費税控除で、⽀払時に分割控除が選択されている
操作手順
会計期間が2019年10月 1日をまたいでいる場合
例 | 会計期間:2019年 7月 1日~2020年 6月30日 1ヵ月分のリース料(税抜):100,000 消費税額(8 %):8,000 消費税額(10 %):10,000 期首残高:2,400,000 |
- [資産管理 - 資産登録 - リース資産登録]メニューを選択します。
- 資産コードに該当するリース資産のコードを入力して、[Enter]キーを押します。
- [⽉次⽀払]ページで、残りの⽀払回数を計算します。
残り支払回数 = 期首残高 ÷ 1ヵ月分のリース料(税抜)
24 回 = 2,400,000 ÷ 100,000 - リース区分で「オペレーティング」を選択します。
- [契約情報1]ページの[税率別確認]ボタンをクリックしてます。
- [リース資産登録 - 税率別入力]画⾯で、10 %の設定をします。
- 基本リース料の 10 %にチェックを付けます。
- 10 %の⽀払情報を⼊⼒します。
- [OK]ボタンをクリックします。
- [⽉次⽀払]ページの「期⾸残⾼」を、3. で求めた残り⽀払回数を使⽤して計算します。
消費税率 8 %と 10 %の残り支払回数をそれぞれ数えます。- 残り支払回数の計算
消費税率 8 %分 = 3 回 (2019年 7月~ 9月分)
消費税率 10 %分 = 21 回 (残り支払回数 24 回 - 消費税率 8 %分の 3 回) - 期首残高の計算
リース料:100,000 × 24 回 = 2,400,000
消費税額:24,000(8,000 × 3 回)+ 210,000(10,000 × 21 回)= 234,000
- 残り支払回数の計算
- 7. で計算した期⾸残⾼を、[⽉次⽀払]ページの「期⾸残⾼」に入力します。
- [F12:登録]を押します。
会計期間が2019年10月 1日期首の場合
例 | 会計期間:2019年10月 1日~2020年 9月30日 1ヵ月分のリース料(税抜):100,000 消費税額(8 %):8,000 消費税額(10 %):10,000 期首残高:2,400,000 |
- [資産管理 - 資産登録 - リース資産登録]メニューを選択します。
- 該資産コードに該当するリース資産のコードを入力して、[Enter]キーを押します。
- [⽉次⽀払]ページで、残りの⽀払回数を計算します。
残り支払回数 = 期首残高 ÷ 1ヵ月分のリース料(税抜)
24 回 = 2,400,000 ÷ 100,000 - リース区分で「オペレーティング」を選択します。
- [契約情報1]ページの[税率別確認]ボタンをクリックします。
- [リース資産登録 - 税率別入力]画⾯で、10 %の設定をします。
- 基本リース料の 10 %にチェックを付けます。
- 10 %の⽀払情報を⼊⼒します。
- [OK]ボタンをクリックします。
- [⽉次⽀払]ページの「期⾸残⾼」を、3. で求めた残り⽀払回数を使⽤して計算します。
期首残高の計算
リース料:100,000 × 24 回 = 2,400,000
消費税額:10,000 × 24 回 = 240,000 - 7. で計算した期⾸残⾼を、[⽉次⽀払]ページの「期⾸残⾼」に入力します。
- [F12:登録]を押します。
ファイナンス・リースを継続する
ファイナンス・リースとして会計処理しているリース資産で、リース会社から 10 %に切り替わる⽀払を請求された場合に、ファイナンス・リースを継続する⼿順を説明します。
対応できるリース資産
[リース資産登録]メニューで以下の 4 項⽬すべてを満たしているリース資産です。
- リース区分で、ファイナンスが選択されている
- 会計処理区分で、売買処理が選択されている
- 消費税控除で、リース開始時に⼀括控除が選択されている
- 利息計算⽅法で、利息計算しないが選択されている
注意 |
当⼿順でも完全な対応はできません。 対応できること以下の金額を一致させることができます。
対応できないこと以下の金額を一致させることはできません。
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操作手順
該当する操作⼿順をご確認ください。
会計期間が2019年10月 1日をまたいでいる場合
会計期間が2019年10月 1日期首の場合
参考 |
消費税債務として計上とリース債務に含めて計上の判定方法
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会計期間が2019年10月 1日をまたいでいる場合(消費税債務として計上)
例 | 会計期間:2019年 7月 1日~2020年 6月30日 各月の1ヵ月分のリース料 7月~ 9月:108,000(税込) 10月~ 6月:110,000(税込) 各月の消費税債務 7月~ 9月:8,000(税込) 10月~ 6月:10,000(税込) 期首残高 :2,592,000 |
今期の期末残⾼と来期以降の残⾼を管理できるようにします。
- 「期首残高」を残りの支払回数から求めた金額に変更する
- 「支払リース料」をリース会社の請求金額に修正する
あわせて「消費税債務」「元本相当額」も修正する
- [資産管理 - 資産登録 - リース資産登録]メニューを選択します。
- 資産コードに該当するリース資産のコードを入力して、[Enter]キーを押します。
- [⽉次⽀払]ページで、残りの⽀払回数を計算します。
残り支払回数 = 期首残高 ÷ 1ヵ月分のリース料(税込)
24 回 = 2,592,000 ÷ 108,000 - [契約情報1]ページの消費税額に 10 %の⾦額を⼊⼒します。
- [⽉次⽀払]ページのリース料の「期⾸残⾼」を、3. で求めた残り⽀払回数を使⽤して計算します。
期首残高 = 支払リース料(8 %)× 期首から数えた 8 %分の支払回数 + 支払リース料(10 %)× 10 %分の支払回数- 消費税率 8 %と 10 %それぞれの支払回数の計算
消費税率 8 %分 = 3 回(2019年 7月~ 9月分)
10 %分 = 21 回 (残り支払回数 24 回 - 消費税率 8 %分の 3 回)
支払額 8 %分 = 108,000 × 3 = 324,000
10 %分 = 110,000 × 21 = 2,310,000 - 期首残高の計算
期首残高 = 324,000 + 2,310,000 = 2,634,000
- 消費税率 8 %と 10 %それぞれの支払回数の計算
- 5. で計算した期⾸残⾼を、[⽉次⽀払]ページのリース料の「期⾸残⾼」に入力します。
- [⽉次⽀払]ページで、消費税率 8 %の期間のリース料を修正します。
- [⽉次債務]ページの消費税債務と元本相当額の「期⾸残⾼」に、3. で求めた残り⽀払回数を使⽤して、期⾸残⾼を計算します。
消費税債務 = 消費税債務(8 %分)× 8 %分の支払回数 + 消費税債務(10 %分)× 10 %分の支払回数
元本相当額 = 元本相当額(8 %分)× 8 %分の支払回数 + 元本相当額(10 %分)× 10 %分の支払回数- 消費税率 8 %と 10 %のそれぞれの残り支払回数の計算
消費税率 8 %分 = 3回 (2019年 7月~ 9月分)
消費税率 10 %分 = 21 回 (残り支払回数 24 回 - 消費税率 8 %分の 3 回) - 期首残高の計算
消費税債務 = 8,000 × 3 + 10,000 × 21 = 234,000
元本相当額 = 100,000 × 3 + 100,000 × 21 = 2,400,000
- 消費税率 8 %と 10 %のそれぞれの残り支払回数の計算
- 8.で計算した費税債務と元本相当額の期⾸残⾼を、[⽉次債務]ページの消費税債務と元本相当額の「期⾸残⾼」に入力します。
- [⽉次債務]ページで、消費税率 8 %の期間の消費税債務を修正します。
- [F12:登録]を押します。
会計期間が2019年10月 1日をまたいでいる場合(リース債務に含めて計上)
例 | 会計期間:2019年 7月 1日~2020年 6月30日 各月のリース料 7月~ 9月:108,000(税込)(8 %分) 10月~ 6月:110,000(税込)(10 %分) 期首残高:2,592,000 |
今期の期末残⾼と来期以降の残⾼を管理できるようにします。
- 「期首残高」を残りの支払回数から求めた金額に変更する
- 「支払リース料」をリース会社の請求金額に修正する
あわせて「消費税債務」「元本相当額」も修正する
- [資産管理 - 資産登録 - リース資産登録]メニューを選択します。
- 資産コードに該当するリース資産のコードを入力して、[Enter]キーを押します。
- [⽉次⽀払]ページで、残りの⽀払回数を計算します。
残り支払回数 = 期首残高 ÷ 1ヵ月分のリース料(税込)
4 回 = 2,592,000 ÷ 108,000 - [契約情報1]ページの消費税額に 10 %の⾦額を⼊⼒します。
- [⽉次⽀払]ページのリース料「期⾸残⾼」を、3. で求めた残り⽀払回数を使⽤して計算します。
期首残高 = 支払リース料(8 %)× 期首から数えた 8 %分の支払回数 + 支払リース料(10 %)× 10 %分の支払回数- 消費税率 8 %と 10 %それぞれの支払回数の計算
消費税率 8 %分 = 3 回(2019年 7月~ 9月分)
10 %分 = 21 回 (残り支払回数 24 回 - 消費税率 8 %分の 3 回)
支払額 8 %分 = 108,000 × 3 = 324,000
10 %分 = 110,000 × 21 = 2,310,000 - 期首残高の計算
期首残高 = 324,000 + 2,310,000 = 2,634,000
- 消費税率 8 %と 10 %それぞれの支払回数の計算
- 5. で計算した期⾸残⾼を、[⽉次⽀払]ページのリース料の「期⾸残⾼」に入力します。
- [⽉次⽀払]ページで、消費税率 8 %の期間のリース料を修正します。
- [⽉次債務]ページの元本相当額の「期⾸残⾼」を、3. で求めた残り⽀払回数を使⽤して計算します。
元本相当額 = 元本相当額(8 %分)× 8 %分の支払回数 + 元本相当額(10 %分)× 10 %分の支払回数- 消費税率 8 %と 10 %のそれぞれの残り支払回数の計算
消費税率 8 %分 = 3 回(2019年 7月~ 9月分)
10 %分 = 21 回(残り支払回数 24 回 - 消費税率 8 %分の 3 回) - 期首残高 の計算
元本相当額 = 108,000 ×3 + 110,000 × 21 = 2,634,000
- 消費税率 8 %と 10 %のそれぞれの残り支払回数の計算
- 8. で計算した元本相当額の期⾸残⾼を、[⽉次債務]ページの元本相当額の「期⾸残⾼」に入力します。
- [F12:登録]を押します。
会計期間が2019年10月 1日期首の場合(消費税債務として計上)
例 | 会計期間:2019年10月 1日~2020年 9月30日 リース料(税抜):100,000 1ヵ月分のリース料(税込):108,000 1ヵ月分のリース料(税込):110,000(変更後) 期首残高:2,592,000 |
今期の期末残⾼と来期以降の残⾼管理をできるようにします。
- 「期首残高」を残りの支払回数から求めた金額に変更する
- 「支払リース料」をリース会社の請求金額に修正する
あわせて「消費税債務」「元本相当額」も修正する
- [資産管理 - 資産登録 - リース資産登録]メニューを選択します。
- 資産コードに該当するリース資産のコードを入力して、[Enter]キーを押します。
- [⽉次⽀払]ページで、残りの⽀払回数を計算します。
残り支払回数 = 期首残高 ÷1ヵ月分のリース料(税込)
24 回 = 2,592,000 ÷ 108,000 - [契約情報1]ページの消費税額に 10 %の⾦額を⼊⼒します。
- [⽉次⽀払]ページのリース料「期⾸残⾼」を、3. で求めた残り⽀払回数を使⽤して計算します。
期首残高の計算式
リース料:110,000 × 24 回 = 2,640,000 - 5. で求めた期首残高を、[⽉次⽀払]ページのリース料「期⾸残⾼」に入力します。
- [⽉次債務]ページの消費税債務と元本相当額の「期⾸残⾼」を、3. で求めた残り⽀払回数を使⽤して計算します。
消費税債務と元本相当額の期首残高の計算
消費税債務:10,000 × 24 回 = 240,000
元本相当額:100,000 × 24 回 = 2,400,000 - 7.で求めた消費税債務と元本相当額の「期⾸残⾼」を、[⽉次債務]ページの消費税債務と元本相当額の「期⾸残⾼」に入力します。
- [F12:登録]を押します。
会計期間が2019年10月 1日期首の場合(リース債務に含めて計上)
例 | 会計期間:2019年10月 1日~2020年 9月30日 1ヵ月分のリース料(税込):108,000 1ヵ月分のリース料(税込):110,000(変更後) 期首残高:2,592,000 |
今期の期末残⾼と来期以降の残⾼管理をできるようにします。
- 「期首残高」を残りの支払回数から求めた金額に変更する
- 「支払リース料」をリース会社の請求金額に修正する
あわせて「消費税債務」「元本相当額」も修正する
- [資産管理 - 資産登録 - リース資産登録]メニューを選択します。
- 資産コードに該当するリース資産のコードを入力して、[Enter]キーを押します。
- [⽉次⽀払]ページで、残りの⽀払回数を計算します。
計算式
残り支払回数 = 期首残高 ÷1ヵ月分のリース料(税込)
4 回 = 2,592,000 ÷ 108,000 - [契約情報1]ページの消費税額に 10 %の⾦額を⼊⼒します。
- [⽉次⽀払]ページのリース料「期⾸残⾼」を、2. で求めた残り⽀払回数を使⽤して計算します。
期首残高の計算式
リース料:110,000 × 24 回 = 2,640,000 - 5. で求めた期首残高を、[⽉次⽀払]ページのリース料「期⾸残⾼」に入力します。
- [⽉次債務]ページの元本相当額の「期⾸残⾼」を、3. で求めた残り⽀払回数を使⽤して計算します。
元本相当額の期首残高の計算
元本相当額:110,000 × 24 回 = 2,640,000 - 7.で求めた元本相当額の期⾸残⾼を、[⽉次債務]ページの元本相当額の「期⾸残⾼」に入力します。
- [F12:登録]を押します。
仕訳例
ファイナンス・リースとして2019年10⽉より前に消費税率 8 %で会計処理しているリース資産に対して、10⽉以後にリース会社から消費税率 10 %での⽀払の請求された場合の仕訳を説明します。
例 |
2019年 7月から契約を開始し、消費税 8 %の仕入税額控除を契約時点で一括計上した売買処理ファイナンス・リース資産について、2019年10月以後のリース料として、消費税 10 %で請求があった場合 リース期間:12ヵ月 2019年10月以後の支払請求額 |
以下の消費税額の取り扱いにあわせて、ご確認ください。
仕訳例は、⼀例です。取引内容に応じて、適切な勘定科⽬を使⽤してください。
消費税額を、リース債務に含めて計上している場合
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リース取引開始
リース資産
8 %12,000
960リース債務 12,000 -
リース料の支払(2019年 7月~ 9月の各月)
リース債務 1,080 現⾦ 1,080 - 2019年10月
-
8 %分の仕入対価の返還と、10 %分の仕入税額控除
『勘定奉⾏』で、仕訳伝票を、直接⼊⼒してください。
リース取引開始時に一度計上した 10月以後の「リース資産(8 %)」を返還処理して、その上で改めて「リース資産(10 %)」を計上します。 差額は「リース債務」で計上します。リース資産
10 %9,000
900リース資産
8 %9,000
720リース債務 180 -
リース料の支払(10月分)
リース債務 1,100 現⾦ 1,100
-
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リース料の支払(11月以後の各月)
リース債務 1,100 現金 1,100
消費税額を、リース債務に含めないで「未払金」として計上している場合
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リース取引開始
リース資産
8 %12,000
960リース債務 12,000 未払⾦ 960 -
リース料の支払(2019年 7月~ 9月の各月)
リース債務 1,000 現⾦ 1,080 未払⾦ 80 - 2019年10月
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8 %分の仕入対価の返還と、10 %分の仕入税額控除
『勘定奉⾏』で、仕訳伝票を、直接⼊⼒してください。
リース取引開始時に一度計上した10月以後の「リース資産(8 %)」を返還処理して、その上で改めて「リース資産(10 %)」を計上します。 差額は「未払金」で計上します。リース資産
10 %9,000
900リース資産
8 %9,000
720未払⾦ 180 -
リース料の支払(10月分)
リース債務 1,000 現⾦ 1,100 未払⾦ 100
-
-
リース料の支払(11月以後の各月)
リース債務 1,000 現金 1,100 未払金 100