概要
インボイス制度への対応に伴い、仕訳伝票の汎用データに項目が追加されました。
汎用データを受け入れている場合は確認のうえ、状況に応じて対応します。
変更内容
受入項目の借方貸方それぞれに、「インボイス取引区分」と「仕入税額控除割合」が追加されました。
また「税区分コード」で指定できる税区分に、免税事業者等との取引用の税区分が追加されました。
(1月提供で追加された汎用データの受入項目「仕入税額控除経過措置の控除割合」は、7月提供で「仕入税額控除割合」に名称が変更されました。受入記号や対応に変更はありませんので、そのままご使用いただけます。)
消費税額の自動計算
消費税額をセットしている場合は、そのまま受け入れられます。
消費税額を「本体価格に上乗せする」の設定にもとづいて自動計算して受け入れたい場合は、以下のように項目をセットします。
- 消費税自動計算に「税込金額からの計算」
- 本体金額に「税込金額」
- 消費税額に「空欄」
詳細は、「受け入れ時に、消費税額を計算して受け入れる」をご参照ください。
対応が必要なデータ
仕訳伝票データの中に、免税事業者等からの仕入れや購入の取引が含まれる汎用データについて変更が必要です。
そのため、仕入取引や経費支払いの受け入れで確認や対応が必要ですが、売上や販売取引の受け入れでは変更はありません。
以下のすべてに該当する場合は、免税事業者等との取引において仕入税額控除の経過措置に対応するため、対応が必要です。
該当しない場合は対応の必要はなく、今までのデータを受け入れできます。
- 課税仕入れの取引
- 免税事業者等との取引
- 2023年10月 1日以後の取引
取引先ごとに仕訳する科目(仕入高など)の仕訳伝票データの受入
汎用データの受入項目
[補助科目登録]メニューで事前に設定した「借方税区分」「貸方税区分」にしたがって登録されるため、汎用データに今回追加された受入項目を追加する必要はありません。
自動で設定される項目名 | 受入記号 | 対応 |
---|---|---|
(借方)仕入税額控除割合 | CSJS224 |
伝票日付をもとに設定されます。 |
(借方)税区分コード | CSJS203 |
[補助科目登録]メニューで事前に設定した「借方税区分」「貸方税区分」が自動で設定され、受け入れられます。 |
(貸方)仕入税額控除割合 | CSJS324 |
(借方)と同じです。 |
(貸方)税区分コード | CSJS303 |
参考 |
取引先ごとに仕訳する科目(仕入高など)の事前設定は、こちらをご参照ください。 |
受入項目へのデータのセット
今まで、「0:その他」でスポット取引先を受け入れていた取引の場合は、受入項目「補助科目コード」へのデータのセットを変更する必要があります。
スポットの免税事業者からの仕入れや購入の取引の場合は、補助科目コードに「0:その他」の代わりに事前準備で追加した「免税事業者等用のスポット取引先」の補助科目コードをセットします。
値をセットする項目名 | 受入記号 | 対応 |
---|---|---|
(借方)補助科目コード | CSJS202 |
「0:その他」でスポット取引先を受け入れていて、免税事業者等からの仕入れや購入の取引の場合は、「0:その他」の代わりに事前準備で追加した「免税事業者等用のスポット取引先」の補助科目コードをセットします。 |
(貸方)補助科目コード | CSJS302 |
参考 |
汎用データの受入項目「税区分コード」に値をセットしている場合は、「「税区分」を都度指定して対応する場合」をご参照ください。 |
取引先ごとに仕訳しない科目(福利厚生費など)の仕訳伝票データの受入
経費科目など取引先ごとに仕訳しない科目の仕訳伝票データのうち、免税事業者等から購入した取引の場合は、以下のいずれかの対応をすることで免税事業者等との取引用の税区分が設定されます。
事前準備で設定した方法別にご紹介します。
- 補助科目に設定して対応する場合
- 仕訳伝票起票時に都度指定する場合
- 「税区分」を都度指定して対応する場合
- 「インボイス取引区分」を都度指定して対応する場合
自動で設定される項目名 | 受入記号 |
---|---|
(借方)仕入税額控除割合 | CSJS224 |
(借方)税区分コード | CSJS203 |
(貸方)仕入税額控除割合 | CSJS324 |
(貸方)税区分コード | CSJS303 |
参考 |
取引先ごとに仕訳しない科目(福利厚生費など)の事前設定は、こちらをご参照ください。 |
補助科目に設定して対応する場合
汎用データの受入項目
汎用データに、今回追加された受入項目を追加する必要はありません。
受入項目へのデータのセット
免税事業者等から購入した取引の場合は、受入項目「補助科目コード」へのデータのセットを変更する必要があります。
補助科目コードに、事前準備で追加した「免税事業者等との取引用」のコードをセットします。その補助科目に設定した、免税事業者等との取引用の税区分が設定されます。
値をセットする項目名 | 受入記号 | 対応 |
---|---|---|
(借方)補助科目コード | CSJS202 |
事前準備で追加した「免税事業者等との取引用」のコードをセットします。 |
(貸方)補助科目コード | CSJS302 |
参考 | 汎用データの受入項目「税区分コード」に値をセットしている場合は、「「税区分」を都度指定して対応する場合」をご参照ください。 |
「税区分」を都度指定して対応する場合
汎用データの受入項目
汎用データに、今回追加された受入項目を追加する必要はありません。
参考 | 汎用データに「税区分コード」項目がない場合は、「インボイス取引区分」を都度指定して対応する場合」をご参照ください。 |
受入項目へのデータのセット
免税事業者等から購入した取引の場合は、受入項目「税区分コード」へのデータのセットを変更する必要があります。免税事業者等との取引用の税区分をセットします。
値をセットする項目名 | 受入記号 | 対応 |
---|---|---|
(借方)税区分コード | CSJS203 | 免税事業者等から購入した取引の場合は、免税事業者等との取引用の税区分コードをセットします。 |
(貸方)税区分コード | CSJS303 |
「インボイス取引区分」を都度指定して対応する場合
汎用データの受入項目
汎用データに、「インボイス取引区分」項目を追加する必要があります。
受入項目へのデータのセット
- 免税事業者等から購入した取引の場合は、受入項目「インボイス取引区分」にデータをセットする必要があります。インボイス取引区分に「1:免税事業者等から購入」をセットします。免税事業者等との取引用の税区分が自動で設定されます。
- 適格請求書発行事業者から購入した取引や、購入取引以外の場合は、受入項目「インボイス取引区分」には「空白」をセットします。
値をセットする項目名 | 受入記号 | 対応 |
---|---|---|
<追加> |
CSJS223 |
|
<追加> (貸方)インボイス取引区分 |
CSJS323 |
こんなときは
免税事業者等から仕入れや購入した商品に対して、2023年10月 1日以後に返品や値引きした仕訳伝票を受け入れる
免税事業者から仕入れや購入した商品を「2023年10月 1日」以後に返品や値引きをした場合、「仕入税額控除割合」の調整が必要なケースがあります。
返品や値引きの「控除割合」は、商品の仕入れや購入時に計上した控除割合にあわせます。つまり、仕入れや購入時の伝票日付で決まります。
過少申告にならないよう、以下の対応が必要です。
例 | 下図の(A)の期間で仕入れや購入した商品を(B)の期間で返品や値引きをした場合は、(A)の期間の控除割合「全額控除」に調整します。 |
仕入税額控除の控除割合
参考 |
「仕入税額控除の控除割合」を商品の購入時に計上した「控除割合」に調整する場合は、仕訳の摘要欄に「商品名」や「購入日付」の記載が必要です。
|
以下のいずれかの対応方法で、(A)の控除割合「全額控除」に調整します。
「インボイス取引区分」を都度指定して対応する場合
値をセットする項目名 | 受入記号 | 対応 |
---|---|---|
<追加> |
CSJS223 |
「2:購入以外または施行日前の取引」をセットします。 |
<追加> (貸方)インボイス取引区分 |
CSJS323 |
「税区分」を都度指定して対応する場合
値をセットする項目名 | 受入記号 | 対応 |
---|---|---|
(借方)税区分コード | CSJS203 | 免税事業者等との取引用の税区分ではなく、課税事業者(適格請求書発行事業者)用の税区分をセットします。 |
(貸方)税区分コード | CSJS303 |
汎用データ受入後に、税区分を一括で変更する場合
汎用データ受入後に[税区分一括変更]メニューで、免税事業者等との取引用の税区分から課税事業者用の税区分に一括で変更して対応します。摘要欄の「購入日付」や「返品」「値引き」の文字をもとに、該当の取引を特定します。
詳細は、こちらをご参照ください。
「XX奉行21 汎用データ受入形式」で仕訳伝票データを受け入れている場合の対応を確認する
汎用データの受入項目
「XX奉行21 汎用データ受入形式」のレイアウトは変更されません。(インボイス特有の項目は追加されません。)
補助科目で、取引先ごとに仕訳する科目の仕訳伝票データの受け入れでは、[補助科目登録]メニューで事前に設定した「借方税区分」「貸方税区分」にしたがって登録されます。
受入項目へのデータのセット
汎用データの受入項目「税区分コード」に値をセットしている場合は、データのセットを変更する必要があります。免税事業者等から購入した取引の場合は、免税事業者等との取引用の税区分をセットします。
受け入れ時に、消費税額を計算して受け入れる
以下のようにデータをセットすることで、消費税額を計算して受け入れできます。
セット方法は2023年10月 1日より前までと変わりませんが、仕入税額控除できない消費税額を本体価格に上乗せする場合の計算例を紹介します。
受入項目へのデータのセット
「本体金額」に税込金額をセットし、「消費税額」は空欄にします。
値をセットする項目名 | 受入記号 | 対応 |
---|---|---|
(借方)消費税計算 | CSJS206 |
「2:税込金額からの計算」をセットします。 |
(借方)本体金額 | CSJS213 |
税込金額をセットします。 |
(借方)消費税額 | CSJS214 |
空欄をセットします。 |
(貸方)消費税計算 | CSJS306 |
(借方)と同じです。
|
(貸方)本体金額 | CSJS313 | |
(貸方)消費税額 | CSJS314 |
計算例
例 | 免税事業者等から購入した明細(税込金額1,100円)を受け入れたい。消費税額は、受け入れ時に計算させたい。 |
セットするデータ
項目名 | 値 |
---|---|
消費税計算 | 2 |
本体金額 | 1100 |
消費税額 | 空欄またはスペース |
当サービスに登録される仕訳
[会計期間設定]メニューの免税事業者等との取引で仕入税額控除できない消費税額を「本体価格に上乗せする」かの設定によって、受け入れ後の「税抜き本体価格」「消費税額」の金額が変わります。
- 本体価格に上乗せする設定で運用している場合
免税事業者等から購入した取引の消費税額は、控除割合(80%)の消費税額で自動計算されます。本体金額 1,100 税込金額 消費税額(内税) (80 控除割合(80%)を加味した消費税額 - 本体価格に上乗せしない設定で運用している場合
免税事業者等から購入した取引の消費税額は、適格請求書発行事業者との取引と同じように消費税率で自動計算されます。本体金額 1,100 税込金額 消費税額(内税) (100 消費税額